【確定拠出年金】退職後のiDeCo移換手続きの流れと注意点、実際にかかった時間は。

こんにちわ烏龍茶です。

以前の記事で、退職後の確定拠出年金手続きを勘違いしていて、超絶焦って個人型確定拠出年金(iDeCo)加入手続きを進めたことを書きました。

◆なぜ勘違いした⁈確定拠出年金は中途脱退できない⁈
気になる前回の記事はこちら◆

【確定拠出年金】退職後の移換手続きを忘れててiDeCo加入を焦ってるお話。

書類の不備がないよう細心の注意を払って書類を作成し、最速で返送するなどの努力の甲斐あってか…?無事に期限までに移換手続きを行うことができました。

これにより、烏龍茶が払わなくて良かった無駄なお金…あわわ、支払わなくて済んだ手数料等は合計5,349円でした。良かった~、早めに気づいて。いや、早めでもなんでもないんだが。とにかく間に合って良かったです。

そんなわけで、今回の記事では、個人型確定拠出年金(iDeCo)加入までの流れと注意点、実際にかかった時間についてご紹介したいと思います。

【注】本記事は、個人的な推察を含む内容となっています。また、必要な手続きや所要時間は各人のおかれる状況によりケースバイケースですので、実際に手続き等を行う場合には、取扱いや制度詳細などについて、証券会社・銀行等で確認することをおすすめします。

 

年金原資の「ポータビリティ制度」

そもそものお話。
確定拠出年金は、原則60歳まで途中の引き出し、脱退はできません。

このため、確定拠出年金制度のある会社を退職した場合は、脱退要件に該当しない限り、これまで積み立てた資金を転職先の企業型確定拠出年金に移換するか、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換するか、いずれかの手続きを行わなければいけません。

このように、受給資格を得る前の年金原資を他の年金制度に移すことを、「年金の持ち運び」だったり、「ポータビリティ」と呼んだりします。

 

ポータビリティ制度の主旨

私の場合は、中途脱退が可能であれば「あばよ」とばかりに脱退して、これまでの積立資産を一括で受け取りたかった…。

ところが、脱退要件に当てはまらず、制度設計上、必ずやどこかに持ち運ばねばならないという事態に遅ればせながら気づいたのです。

私にとっては「ポータビリティ制度なんてなくてもいいのに…」とつい思ってしまった制度なのですが、そもそも、この「年金の持ち運び」は、従業員の不利益を解消するために長い年月をかけて少しずつ実現された制度のようです。

 

以下、企業年金連合会のサイトにはこのような記載があります。

一般に、会社が変わった場合はその時点で退職扱いとなり、規約に基づいて給付の清算がされる。そして、勤続年数が短いため、一時金としてしか受け取れなかったり、あるいは受給資格そのものが得られないことも多くある。これは従業員にとって不利益であるため、転職先の企業年金に積立金を移管し、元会社での勤続年数を通算できる制度が求められていた。

平成1710月から、転職先企業の制度の規約と本人の同意を要件に、厚生年金基金、確定給付企業年金間および確定給付企業年金から確定拠出年金へのポータビリティが確保されるようになった。また、平成305月からは確定拠出年金から確定給付企業年金への移換も可能となる。

参照元:「企業年金連合会」公式サイト

 

確かに、退職金の主な目的は老後資金。そして、住宅ローンを組んでいる人にとっては繰上返済資金として見込んでいるケースも多いでしょう。

2019年6月には、金融審議会の報告書「高齢社会における資産形成・管理」のなかで、老後資金には年金除いて2,000万円必要だべやってな内容が盛り込まれているらしく、国会でやいのやいのの大騒ぎしました。この2,000万円には「退職金も含んでいいんですよ」って、TVでファイナンシャルプランナーの方が解説されていましたが、その言葉で「そうかそうか」と安心できる人は一握りなのではないでしょうか。

わっはっは。それなら一安心…?

 

厚生労働省の統計に「退職給付(一時金・年金)の支給実態」というものがあるのですが、ざっと見た感じでも、平成20年頃と平成30年頃を比較してみると、この10年だけでも支給額水準がぐっと下がっていることがわかります。

◆勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の
1人平均退職給付額(定年退職の場合)
平成20年調査計
大卒      2,280万円
平成30年調査計
大卒・大学院卒 1,983万円

およそ300万円少なくなっている。これ、結構大きな金額です。

 

さらに、この統計データは、調査の対象が「勤続20年以上かつ45歳以上」となっています。一般的に退職金は、勤続年数に比例して金額があがるわけではなく、勤続10年未満では、基準額の半分程度に抑えられているケースもあるようです(もちろん、もらえないケースも)。

定年退職なのか?自己都合なのか?あるいは会社都合なのか?退職事由によって異なる支給率を適用する企業も多く、自己都合による退職の場合は想定していた金額に到底及ばないことも。これでは老後資金なんて言ってる場合じゃないかも…。転職準備期間中の生活費に消えてなくなってしまうことも十分あり得るわけです。

それでも、いただけるだけありがたい環境ですけどね。

 

人材の流動化が進み、
1つの企業に所属する期間が短期化すると…。

転職がキャリア&給与アップにつながればいいけれど…。

やむをえず退職せざるを得ない場合もあるし…。

 

こうなると、1つの企業を退職する都度、退職金が精算され支給されてしまっては、従業員にとって不利益を生じさせるという話は分からなくもないですね。

 

年金を持ち運ぶことのメリット

そこで、転職や退職をした場合に、これまで積み立てた年金資産を持ち運ぶことで期間を通算できるとしたら。これは結構メリットが大きいんだ、ということに私も思い至ったわけです。

年金のポータビリティがあることで、

  1. 老後まで使えないよう「鍵」をかけておける。
  2. 長い目」でお金を「育てる」運用の機会が得られる。

こんなメリットがあるんですね。

 

退職後の個人型確定拠出年金(iDeCo)への移換手続き

では、実際に年金を持ち運ぶ際の移換手続きについてみていきたいと思います。

ここでは、私が実際に行った、企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金(iDeCo)への移換を中心に流れをお話したいと思います。

移換手続きの流れ

  1. 金融機関の選定
  2. 書類の取り寄せ
  3. 書類の作成・返送
  4. 資産の売却
  5. 新たな資産の買い入れ

詳しく見ていきましょう。

金融機関の選定

まずは、これからiDeCoを始める証券会社・銀行等を選択します。この金融機関のことを、「運営管理機関」と言います。

「運営管理機関」は、年金のラスボスともいえる存在、「国民年金基金連合会」から委託を受けた機関で、主に次の3つの役割があります。

①受付業務:加入申込・各種届出の受付など
②運用業務:運用商品の選定・提示など
③記録業務:加入者情報の管理、運用指図とりまとめ、給付の裁定など

この「運営管理機関」は、単独で1つの金融機関が担っている場合もあれば、複数の金融機関が共同で受託している場合もあります。

まずは、最も身近な生活口座のある金融機関が、iDeCoを取り扱っているかを調べてみてもいいかもしれませんね。

iDeCo公式サイトでは運営管理機関を検索することができます◆

 

「運営管理機関」を選択するにあたってポイントとなるのが次の2つといわれています。

  1. ランニングコスト(手数料)
  2. サービスの質

ランニングコスト(手数料)

個人型確定拠出年金(iDeCo)では、毎月、運営管理手数料などの費用が発生します。

  1. 事務取扱手数料(国民年金基金連合会):
    拠出1回につき103円
  2. 事務委託先手数料(だいたい信託銀行):
    月額64円が多い
  3. 運営管理手数料(申込銀行・証券会社等):
    金融機関により異なる
  • 上記3つをまとめて「口座管理手数料」と言ったりします。
    最も安い場合で167円、高い場合で617円。その差月額450円!
  • 手数料のなかには、資金を拠出せずに運用のみを行う「運用指図者」の場合はかからない、あるいは減額される項目があります。
  • 口座管理手数料が安いネット証券では、だいたい3.の運営管理手数料を0円とすることで安さを実現しています。

 

確定拠出年金の主旨は老後資金の準備にあるため、長期投資が基本になります。長期投資の場合は、ランニングコストがじわりじわりと影響します。とく毎月の掛金が最低金額に近い場合は、手数料が占める割合が大きくなってしまい、それだけ投資効率が落ちてしまいます。

コスト意識を持つことも大切だということですね。

サービスの質

運営管理機関のサービスの質も重要なポイントです。老後までの長いお付き合いになるわけですから、使い勝手の良さも重視したいですね。

例えば、日中働いている場合には夜間や土日もコールセンターが対応してくれるとか、運用成果の確認や配分見直しを行うWEBサイト画面の見やすさや操作のしやすさなども、長期的なお付き合いのポイントだと思います。

 

運用商品の充実度(こだわりなければ重視せず)

一方で、私があまり重視しなかったのは運用商品の充実度です。運用商品は選択肢がたくさんあれば良いのかというと、そうでもありません。逆に選択肢が多いと、何を選んでいいのか絞れないというデメリットもあります。

運用商品の選択は自分自身で決定しなくてはならず、「投資のプロにお任せするわ」というわけにはいきません。

なお、2018年5月の確定拠出年金法の改正により、確定拠出年金(iDeCo)における運用商品の提供数の上限が35以下とされました。このため、商品ラインナップの”数”で勝負してくる金融機関は、いまや少ないんじゃないかな~と思います。

 

確定拠出年金(iDeCo)で選択できる商品には、定期預金などの元本確保型の商品もありますが、多くは元本保証のない「投資信託」で運用することになります。投資信託にも費用がかかるので、なるべくコストの安い投資信託を選ぶ必要性は高いのですが、たくさんあって迷ってしまう場合には、分散投資を意識しつつ2~3本程度の商品をセレクトすると良いのではないでしょうか。

運用商品のラインナップ一覧には、どのような資産に投資されるのか区分表示されていると思います。「国内株式」とか「先進国債券」とか、「バランス」といったものがそれです。

個人的には、元本確保型とバランス型を基本としつつ、分散投資ならではのメリットを享受できるように、ある程度値動きの大きい「株式」に投資する商品を組み入れたいなと考えています。

 

書類の取り寄せ

今のご時世、だいたい資料請求はネットからできます。

資料請求してからすぐに郵送してくれるといいのですが、数日要するとみて早めにしましょう。運営管理機関を迷っている場合でも、資料請求はタダ。移換期限が迫っている場合は、取り急ぎ、候補先の資料を先に取り寄せてしまうのが時間短縮になります。

なお、疑問や不明な点がある場合は、迷わずコールセンターなどに電話で問い合わせ、資料請求とあわせて確認すると良いですよ。移換手続きでは、ケースバイケースで必要になる書類が異なるので、確認しておくことで手続きもスムーズになります。

 

書類の作成・返送

運営管理機関から書類が到着したら、必要書類を記入して返送します。

あらかじめ次の事項を確認しておくとスムーズに記入ができますよ。

  1. 基礎年金番号:「年金手帳」や「ねんきん定期便」に記載があります。
  2. 掛金引落口座情報:本人名義に限ります。「通帳」や「キャッシュカード」に記載があります。

基礎年金番号

「年金手帳」や「ねんきん定期便」を確認して記入しましょう。

掛金引落口座情報

これから掛金の「拠出」も行う場合は、引落口座を決めておく必要があります。口座に残高がない場合には引落されません。掛金の前納・後納はできないため、口座引き落としができなかった場合は翌月に2ヶ月分が引き落とされることもなく、運用機会を逸失することになります。

継続的にきちんと掛金拠出を行いたい場合は、給与受取口座などを指定しておくと、残高不足に陥ることも、ない…かな?掛金の口座引き落とし日は、毎月26日です。

逆に、家計の状況を見ながら掛金を拠出するか否かを毎月コントロールしたい、という場合には、掛金専用の口座を作った方がいいかもしれませんね。

 

ちなみに、掛金引落口座はどこの金融機関でもいいわけではなく、いわゆるネット系銀行(セブン銀行やソニー銀行など)は指定できないようです(2019年6月現在)。これは、個人的にとても意外でした。ネット銀行としか取引がない場合には、他の金融機関で口座を開設する必要があります。

 

このほか、私のように、他の企業型確定拠出年金からの移換の場合は、移換元の情報も必要になります。

  1. 実施事業者登録番号および名称
  2. 記録関連運営管理機関登録番号および名称

私の場合、これらの情報は、退職した会社から郵送された移換手続きの案内ハガキに記載がありました。ちなみに、これまで定期的に受け取っていた残高のお知らせ通知には記載がありませんでした。

実施事業者登録番号および名称

実施事業者登録番号とは、規約承認番号のことです。

私が選択した金融機関では、不明な場合は空欄でも良いとなっていました(登録番号のみ不要で、名称は必要です)。

記録関連運営管理機関登録番号

実施事業者登録番号がわからなくても(記載がなくても)手続きが進む一方で、記録関連運営管理機関登録番号は要記載項目でした。記載がない場合は資料が返戻されてしまい、手続きが遅くなってしまいます。

登録番号が不明な場合は、以前の勤務先に確認する必要があります。

 

資産の売却、新たな資産の買い入れ

資産移換にあたっては、これまでの積立資産を一度売却して、あらたな移換先で資産を買い入れることになります。資産の売却はあちらで(ってどちら?)やってくれるので、加入者がどうこうする必要はありません。

裏返せば、加入者本人が「今売り時かな」と思っても、自分のタイミングで売却することはできません。

加入者本人が行う必要があるのは「掛金の配分設定」(運用商品の購入割合を指定すること)です。

私の選択した運営管理機関では、iDeCoに加入する際に「加入者掛金配分設定届」を提出するか、後日利用者サイトで指定することができました。期日までに指定されない場合は、運営管理機関側で決定した運用商品が購入されることになります。

 

資料請求から移換完了までかかった時間

そんなこんなで、実際に移換完了までにかかった時間です。

運営管理機関から受け取った「お申込み後の手続きの流れ」の案内では、企業型確定拠出年金から移換する場合には、「移換手続き完了まで1ヵ月半から3ヵ月」と記載がありました。

 

私の場合は以下のとおりでした。

6月10日:資料請求

↓ 書類作成、返送

6月18日:返送資料が届いたとの連絡あり

↓ (国民年金基金連合会において加入者資格の確認など)

7月6日:利用者サイトのID及び初期パスワード受領

7月29日:個人型年金運用指図確認通知書、個人型年金移換完了通知書

(実際に上記の通知書が郵送で到着したのは8月2日)

7月31日:移換期限

 

こんなわけで、かなりギリギリのタイミングで移換期限に間に合った…!

所要期間は1ヵ月+21日。資料不備による返戻などもなく、最もスムーズにいったパターンなのではないでしょうか。しかしながら、資料請求があと数日遅れていただけで自動移換されていたかもと考えると、「意外に時間かかるから急いだほうがいいよ」と助言してくれた夫に感謝感謝です。


いかがでしたか。

今回の記事では、企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する場合の注意点やスケジュールについてご紹介しました。

自動移換されてはもったいない。いつかは取る行動と考えれば、早めに動くに越したことはなさそうですよ。

ご参考になれば幸いです。