こんにちわ烏龍茶です。
前回の記事で、産院選びのポイントについて書きました。産院によって母子サポート方針もさまざま。どこの産院で出産しよう?と迷ったら、まずは自分がどのような子育てをしたいのか?何を優先したいのか?を考えてみると、おのずと答えが出てくるかもしれません。
ちなみに烏龍茶の場合、方針もなにも…どんなやり方があるのかも分からずだったので、がっつりその産院の方針に任せたって感じです汗。
こんなことがあったよ、こうした方が良かった、という体験をもとに書いてみたいと思います。
もくじ
大部屋か個室か
産後の環境のひとつとして、赤ちゃんとママが多くの時間を過ごすお部屋の環境はとても重要だと思います。
大部屋なのか?個室なのか?
大部屋がいいのか個室がいいのかは、なにを重要視するかで変わってきます。例えば、費用を抑えたいなら大部屋になるだろうし、誰にも気兼ねしない時間を優先するなら個室です。
私自信は個室と大部屋のどちらも体験しましたが、この先、もし出産する機会があって、「どちらを選びますか?」と聞かれたら、これはもう「個室」一択です。
なぜなのか。
まずは、大部屋・個室のそれぞれの特徴を挙げてみたいと思います。
大部屋・個室のそれぞれの特徴
【大部屋】
●収容人数は、1部屋あたり3~4名が多い。
少なければ2人、多くても6人。
●プライバシー保護はカーテン仕切りで。
●大部屋自体にトイレやシャワーがついている場合も。
●面会はオープンスペースまたは病室で。
【個室】
●1人部屋。
●完全にプライバシーが保てる。
●部屋にシャワー・トイレがついているところが多い。
●面会は自分の部屋で。
●個室料金がかかる。
大部屋の良いところ
- 健診時期から顔見知りだったり、赤ちゃんの生まれた日が一緒だったりと、なにかと共通点があるママさん同士はお友達になりやすい。
- 母乳がうまく出なかったり、これからの子育てに不安が募っても、「自分だけじゃない」と思える。
- 他の赤ちゃんの様子も知ることができる。
- 費用が安く抑えられる。
- 同時期に入院する人が少ないと、大部屋でも1人ということも。
大部屋のメリットは、ずばり「ヒトとの交流」。
ですから、この前提が崩れると大部屋のメリットって費用面しかなくなるんですよね。同室になるママに左右される部分が大きいのに、どんな方と同室になるかは選べない。
この交流という点において、私が過ごした大部屋は、私も含めて全員カーテンを閉めっきりで、ほぼ会話なく入院期間が終わりました。「大部屋には大部屋の良いところがあるし」と思ってスタートしたけれど、同室のママさんとの会話といったら、洗面台で鉢合わせした時の「おはようございます」くらい。
産後の疲れもあるし、出来る限りヒトとは接したくない、という場合にはかえって良かったのかもしれません。
大部屋のしんどいところ
大部屋のメリットである「ヒトとの交流」。これはメリットでもあり、デメリットでもあります。ただ、同室の方がよっぽど積極派?でない限り、交流を持ちたくなければカーテンを閉めていればいいわけですから、大部屋でも逃れる術はあります。
ところが。これ以上に、私が大部屋の最大のデメリットと感じてしまったのは「声」。他人の声が聞こえることです。
カーテン越しとはいえ、「声」は聞こえるもの。赤ちゃんの泣く声も、携帯電話で話す声も、看護師さんとの会話も、母の独り言も。すべてが、筒抜けです。
赤ちゃんは泣くのが仕事、ですけどね。
私自信、普段から眠るときは部屋を真っ暗にしたいタイプで、加えて音にも敏感。布団のこすれる音とか、寝息が聞こえるだけでも寝付きが悪くなってしまうのですが、
眠れない。
まったくといっていいほど、眠れない。
同室の1人の方は産後の体調が本当に悪かったようで、「うーん、うーん」と終始うなされる声。聞いているこちらまで心配になってしまうほどで、頻繁に看護師さんが検温などに来ては会話。こっちまで不安で、眠れない。
もう1人の方は母乳トラブルがあるのか?(といった会話の内容まで聞こえてしまう)、いろいろ悩まれているようで「あれ?あれ?おかしいな…どうしたんだろう。こうかな」と、ずーっと独り言をつぶやいている。頼むから心の声にしてくれ。眠れない。
夜間授乳のたびに、病室のどこかで灯りが灯るし、なんだか全然眠れなーっい(涙)!!「お互いさま」といえども、産後の疲労がたまる一方の入院生活でした。
ちなみに、同じ病院に別の理由で入院したことがあるのですが、その時は大部屋でも快適に過ごすことができました。赤ちゃんは昼でも夜でも元気に泣くぞ、それに合わせて大人も行動するぞ、という産科ならでは事情が大きいんだなとつくづく実感しました。
大部屋に入院する場合は、入院グッズに「耳栓」を加えておくと、心強い味方になってくれるかもしれません。
個室の良いところ
- 他人が気にならない(気にしなくて良い)。
これに、つきます。
カーテンに仕切られた空間なのか、ドアのついた部屋になっているのか。この差はあなどれません。
- 「あーしんどい」「あー痛い」、思ったことをその場で声に出して言える。
- 「よちよち。いいこですね~」「おしっこ出ましたか~」。ガンガン我が子に話しかけられる。赤ちゃん言葉であろうとも。
- 家族が面会に来ても、部屋でゆっくり会うことができる。赤ちゃんとの写真も撮りやすい。
- シャワーやトイレが部屋についていると、移動しなくていい。好きな時間に、好きなだけ。産後の身にはかなりありがたい。
一口に個室といっても、産院により付属設備や面会ルールに違いがあります。産院を選ぶ際に確認しておくといいですよ。
◆シャワー◆
シャワーは、個室でもついている・ついていないが分かれるところ(トイレは、ほぼついています)。
部屋についていない場合、烏龍茶のお世話になった総合病院ではわざわざシャワー室まで行って、予約表に記入する必要がありました。「1人〇分」と時間制限はあるし、希望する時間帯が埋まっていることも。
授乳や食事、沐浴などの時間を考えると、だいたい皆さん同じくらいの時間帯にお風呂を済ませたくなるようで、好きな時間にゆっくり入れないのは地味にツライです。
◆トイレ◆
産後はトイレによいこらしょと座るだけでも時間がかかります。時間を気にせず、他人に遠慮することなく使用できるのはありがたい。
大部屋にトイレがついている場合でも、同室のママさんが気になって、結局病棟のトイレまで出張するなんてこともあるようですよ。
リラックスして入院生活が送れるといいですね。
個室のしんどいところ
個室の唯一のデメリットは、費用がお高いということだけなのではないでしょうか。ちなみに烏龍茶の場合は帝王切開だったため、医療保険から入院費・手術費がおりるぞ、ということも念頭に個室一択だったわけですが。
ちなみに、高い高いと聞くけれど、産科の個室って、実際どの程度の金額がかかるものなのでしょうか。
個室料金ってどのくらいかかるの?
個室料金。
これは、産院による、としか言えません。
参考までに、浜松市内の分娩施設のある病院の公式HPで調べてみました。(2019年7月 烏龍茶調べ)
【総合病院】
A病院:個室(6,480円)、特別室(17,280円)
B病院:個室A(12,000円)、個室B(16,000円)
C病院:個室(14,040円)
D病院:個室(9,000円)
個室でもタイプ別に料金が異なる場合は、シャワーの有無や、家族がお泊りする場合の付属ベッドの有無などの違いがありました。
【個人病院】
ほぼすべての産院において「完全個室」でした
(1医院のみ、個室満員だった時に2人部屋になるとの記載あり)
いかがでしょうか。だいたい、1部屋あたり15,000円/日程度を見込んでおく必要があるのかな、と個人的には思いました。通常4日間の入院とすると、ざっくり60,000円。
ただ、気をつけたいのは次の点。いくら個室を希望していても、大部屋になることがあるのです。
個室希望でも、個室になるとは限らない
烏龍茶のお世話になった病院は総合病院で、基本が大部屋、希望により個室でした。
個室希望の場合は予め申請しておくのですが、希望が通るとは限りません。個室は、こまめな体調管理や容体把握が必要になるママが優先になるからです。
私の場合は、1人目の時は緊急帝王切開になり、その後も管理が必要だったため退院まで個室でした。2人目の時も帝王切開で、希望も個室で出していたので「個室でいけるかな?」と思っていたのですが、急患で個室がいっぱいということで大部屋になりました。
総合病院、とくに周産期センターを兼ね備えた大きな病院では、ベッドに空きがあれば他の産院から母子を受け容れますよね。10月10日(とつきとうか)といえど、赤ちゃんが出たーい!となるタイミングはそれぞれですから、一斉に産気づくということもあるわけです。
そうなると、部屋に空きがないってなるよな、そりゃそうだ。
そんなわけで、絶対にどんなことがあっても個室がいいんじゃーっ!という場合は、完全個室をうたう個人クリニックに早めに予約するしかないのかな、と思います。
母子同室か母子別室か
いろいろな産院のホームページを見ていると、「母子同室」とか「母子別室」という言葉を目にすると思います。これは、入院期間中における赤ちゃんとママの過ごし方です。
それぞれどのように違うのでしょうか。
母子同室・母子別室の違い
【母子同室】
同じ部屋で、ママと赤ちゃんが24時間一緒に過ごします。産院によりますが、トイレに行くときも基本一緒です。
【母子別室】
赤ちゃんは「新生児室」や「ベビールーム」と呼ばれる部屋で過ごします。授乳やオムツ替えなどが必要な際に、ママが赤ちゃんの部屋まで行ってお世話をします。
「母子同室」といっても、多くの産院では、ママの体調によっては一時的に新生児室で預かってくれたり、臨機応変に対応してくれるところが多いようです。また、日中は「母子同室」だけれど、夜間は「母子別室」というところも。
で、結局どちらがいいの⁈
母子同室が推奨される背景
「母子同室」か、「母子別室」か。
これはもう、どちらがイイとかありません。産院の方針もあるし、自分自身の育児方針もある。自分の考えに合う産院に入院すべし。
ただ、最近の主流は「母子同室」のようで、浜松市内の多くの産院でも、母子同室を推奨しているようです。「母子同室、できます」みたいな。
そういう書き方だと、「母子同室」の方がなんだか良いような印象を持ってしまうのですが、私だけかな…。希望するでしょ?うちの産院ならそれが出来ますよ、という言い方ですもんね。
なぜ、このように「母子同室」が推奨されるようになったのでしょうか。
母子同室は母乳神話から?
「母子同室」が推奨されている背景には、WHOとユニセフが母乳育児を守るためのガイドラインとして示す「母乳育児成功のための10か条」のなかに、下の1文があるからのようです。
「お母さんと赤ちゃんを一緒にいられるようにして、24時間母子同室を実践する」
◆「母乳育児成功のための10か条」の他の条文も確認する◆
「日本母乳の会」公式サイト
「母子同室」は、「母乳育児」を実現しやすいというわけです。
では、なぜ、WHOやユニセフは母乳押しなのか。これについては、次のような記載があります。
一方、母乳は赤ちゃんにとって必要な全ての栄養素を供えた「完全食品」と言われています。成長に必要な栄養素のみならず、様々な病気やアレルギーから赤ちゃんを守る免疫物質も含まれています。また、授乳時にお母さんと触れ合うことで、赤ちゃんの精神的な発達にも大切な影響を与えているとも言われています。
さらに、母乳による育児は、お母さん方の身体を守る役割も果たしています。
母乳育児には、次の妊娠を抑制する効果があります。
妊娠・出産によって疲れた母体が、次の妊娠に必要な体力を十分回復するまでの間、お母さんの身体を、妊娠のリスクから守ってくれるのです。(途上国の妊産婦死亡率の高さの陰には、こうしたことも背景にあるのです)
「母子同室」をかかげる産院では、(よっぽど拒否すれば別かもしれません)積極的に母乳育児に取り組むことになります。
具体的に、どのように過ごすことになるのでしょうか。これは、母子同室を選ぶか、母子別室を選ぶかを考えるうえでポイントになるかも。
母子同室だとこんなことが起こる
私の入院した総合病院の方針は次のとおりでした。
- 「当院は早期母子同室・母乳育児を推奨しています」
- 「お母さんと赤ちゃんの状態が落ち着いていれば、母子同室できます」
(当総合病院HPより)
もろに、母子同室・母乳育児がスタンダードポリシー。
こうした産院では、入院生活が、母乳育児を軌道にのせるためにひたすら頑張る期間になります。
ね、眠れな~い。
母乳育児の実態
赤ちゃん、ママともに個人差があります。ご参考までに。
- 赤ちゃんが生まれたら自然に母乳がドバドバ出るわけではないらしい。
- 赤ちゃんに吸ってもらうことで、母乳分泌が促進するらしい。
- だから、赤ちゃんが泣いたら、とりあえずおっぱいを吸わせてみることになる。
- 最初のうちは、赤ちゃんもおっぱいを飲むのが上手ではない。
- 赤ちゃんの吸う力はすさまじいパワー。上手に深くおっぱいを咥えてもらえないと、乳首が切れることも。
- なかなか出ない母乳に、赤ちゃんもお腹が満たされず結構な頻度で泣く。
- 昼だって夜だっておかまいなし。1時間おきくらいに泣く。
- だいだい左右交互で各5分×2セット。1回の授乳に約20分かかる。
- 母乳が出始めると、今度は3時間に1回はおっぱいを飲んでもらわないと、おっぱいがだんだん詰まって乳腺炎になることがある。
私の場合、特にきつかったのが、5番目の赤ちゃんの力強さ。その生命力を頼もしく感じる一方で、乳首に裂傷ができたときは、授乳のたびに拷問を受けているかのような痛み。
「も、もうちょっと、や、やさしくおねがいしま~す」。
本当に悶絶しながらの授乳生活でした。
◆授乳で乳首が切れてしまった場合の対処は?◆
(執筆中)
助けられたのは、母子同室といっても緩めの母子同室だったこと。寝不足でちょっと眠りたい…体を休ませたい…と感じたときには、助産師さんが新生児室で預かってくれました。
1人目の時は、「母乳をあげなきゃ…!」「母乳が出なくなったらどうしよう…」という不安な気持ちに駆られて、新生児室に預けることを躊躇していたんです。
でも、赤ちゃんと同じ部屋にいると、赤ちゃんが泣いているのを放っておくわけにもいかない(特に大部屋&母子同室で泣き止まないと、いくら「お互いさま」といえども、精神的にキツくなってきます…)。なんとかしようともがく自分。もちろん、産後の疲れはまったく抜けません。
こうした経験から、2人目の時は入院中は体の回復を優先すると割りきって、「こりゃいかん」と感じたら早々に預けるようにしました。ちなみに、新生児室に預けている間は、赤ちゃんが泣いたらミルクを飲ませてくれていました。
少しの間赤ちゃんと離れた時間が必要だけれど、「ミルクはあげてほしくない」「完全母乳でのぞみたい」と思っているなら、助産師さんにあらかじめ自分の育児方針を伝えておいた方がいいかも。きっと、授乳が必要な時には連れてきてくれると思いますよ。
母乳育児がひとたび始まれば、卒乳までの期間、朝までぐっすり眠れることはほとんどありません。退院したら、これから赤ちゃんとは思う存分べったり向き合うことになります。母子同室・母子別室は、これらも念頭に検討してみるとよいかもしれません。
母乳じゃなきゃダメなの?
私は本当に驚きました。
世の中が母乳神話で溢れていることに。いやびっくり。
自分のおっぱいから乳が出るなんて想像すらしたことなかったし、それまで赤ちゃん連れのママが授乳しているシーンに出くわしたことがなかったので、私の中では「赤ちゃんはミルクを飲んで育つもの」と勝手にイメージが出来上がっていたのです。
ミルク=牛乳とも思っていたのですから、ほんと知識のなさに愕然ですよ。我ながら。
前述の出典元:日本ユニセフの文章をたどると、いわゆる「粉ミルク=人工乳」と母乳を比べて、母乳の利点について述べられています。そして、その国の衛生状態によっては、粉ミルクを作るための清潔で安全な飲料水が手に入りづらかったり、粉ミルクを買い続けることが難しいという貧困の現実があるのも事実。
母乳はタダで経済的。けれど、ここ日本ではお湯を沸かせばミルクが作れます。より母乳に近いとされるミルクが販売されています。
なにより、赤ちゃんとママとのスキンシップは授乳だけではありません。
ここからは、個人的な見解になりますが、母乳神話にとらわれ過ぎてしまって、精神的・肉体的に行き詰まることがあったら本末転倒。育児においては、妥協するところは妥協する、頑張らないところを作る、ということも大切だとつくづく実感しました。
赤ちゃんもママも、元気に笑って過ごせるのが一番!
いかがでしたか。
今回の記事では、産院選びのポイントになる、お部屋タイプの違い「大部屋or個室」、赤ちゃんとの過ごし方「母子同室or母子別室」についてご紹介しました。
カンガルーケアだったり、初乳を飲ませる大切さなど、出産後数時間のスキンシップが重要視されていることも事実です。悩ましいところですが、結果的に良かったと思える選択ができますように。
ご参考になるところがあれば幸いです。
◆産院選びに迷ったら。こちらの記事も◆