こんにちわ烏龍茶です。
長年お世話になった会社を退職してから早数か月…。初めての退職経験で、あらかじめ調べておいたとはいえ、慣れない手続きがいっぱいでやっぱり漏れがありました。
ある日こんなハガキが家に届いたのです。
「確定拠出年金の移換手続きのお願い」
かいつまんで言うと、
「あなた様は企業型確定拠出年金の加入者資格を既に喪失してるから、加入者資格喪失日の翌月から6か月が経過するまでに手続きしてね」
寝耳に水。やべえやべえ。なんか早急に対応しないといけなさそう。ってか、私、既に手続きしたつもりでいたんですけどできてないの
今回の記事では、そんな確定拠出年金の移換で焦った場合に参考になる読み物にしよう!そんな気合いで書きたいと思います。
わかりやすくするためにざっくりとした解説になっていますので、気になったポイントはご自身で深堀りしていただけたら幸いです。
【注】2019年5月時点の制度・税制をリサーチして執筆。
もくじ
確定拠出年金とは?
2019年5月、金融庁が示した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書では、人生100年時代を踏まえて自助努力により老後に備えよとの内容を含むようで、大きな話題となっています。
確定拠出年金は、そんな老後に備える資金形成のひとつの手段です。
特長(企業型・個人型共通)
- 掛金は会社または個人で捻出
- 運用商品は加入者が決定
- 運用実績によって将来受け取る金額が変動
- 原則60歳まで受け取れない
- 掛金には税制上の優遇措置あり
確定拠出年金自体は、企業年金の新たな選択肢として2001年に始まった制度ですが、注目を集めたのは2017年1月。これまで加入不可だった専業主婦や公務員の個人型確定拠出年金への加入が認められたときですね。これをきっかけにiDeCoを始めたという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
確定給付企業年金と確定拠出年金の違い
なぜ、私が確定拠出年金の手続きを済ませたと思い込んでいたかというと。
「確定給付年金」と「確定拠出年金」がごっちゃになっていた。
退職時っていろいろな手続きがあります。健康保険やら厚生年金やら。その一つに企業年金制度(厚生年金基金および確定給付企業年金)の手続きもあるわけです。
確定給付企業年金
確定給付企業年金は、確定拠出年金と異なり、給付額があらかじめ規約などで定まっています。会社を退職する時には、企業年金制度からも脱退することになるので、企業年金の受取方法を選択することになります。
私の場合、確定給付企業年金については一時金受給を選択しました。退職金とは別モノですが、退職所得控除が使えます(けれども、定年退職以外で、退職控除のメリットがあるほど退職金を受け取ることはまずないと思います…)。
確定給付企業年金は、一時金として受給せず、再就職先の新たな企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)に資金を移換することもできます。
【注】加入していた企業年金制度の規約により、給付金の受取方法や他基金への移換可否・条件等が異なるためご自身で確認されてくださいね。
ー個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換することができるのか~。ふむ。ここから、確定給付企業年金と確定拠出年金との混同が始まったようです。
ちなみに退職時の書類に目を通すと、「この脱退一時金は、確定拠出年金(401K)とは制度が異なるため手続きは別々に行う必要があります」。
はっきり書いてあるじゃねぇか!疑ってごめんよ会社!ありがとう!
そして、そんな自分の勘違いに気づかぬまま、やがて確定給付企業年金の一時金はめでたく振り込まれ、それが確定拠出年金を含むものと思い込んでいた(誤り)わけです。
確定拠出年金
確定給付企業年金が、受け取れる給付額が保障されているのに対して、確定拠出年金では拠出した資金を投資信託などの商品で運用するため、給付額は運用成果によって変動します。
なお、確定拠出年金で選択できる運用商品には、投資信託のような元本保証のない変動商品もあれば、定期預金などのように元本確保型の商品もあります。定期預金ときくと、個人的には「資産運用」のイメージとは隔たりがあったのですが、預金も立派な運用手段の一つなんですね。
確定給付企業年金と同様に、確定拠出年金も退職に伴い加入者資格を失います。そこで、烏龍茶の手元にも「確定拠出年金の移換手続きのお願い」のハガキが届いたわけです。
確定給付企業年金と異なり、これまで拠出した資金を一時金として受け取るためには、想定外にハードルが高かった…。脱退要件を満たさない限り、これまで積み立てた資産は、転職先の企業型確定拠出年金に移換するか、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換するかの二択になります。
*企業に再就職しないのであれば、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換せねばならん。というか、するしかない。(←烏龍茶、いまここ)
確定拠出年金を脱退一時金で受け取ろうと思った理由
確定拠出年金を、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換することもできるのに、あえて移換せずに脱退一時金で受け取ろうとした私。
そこにはいくつか理由があります。
- 掛金継続に対する不安
- 60歳まで資金が固定化されることへの不安
- 所得控除メリットがない
- 掛金が少額だと手数料比率が高くなる
「個人型確定拠出年金(iDeCo)はお得だから、とにかくやっておけ!」みたいな風潮がありますが、メリットがあるかどうかはその方の置かれている状況に左右されるので、自分が本当にそのメリットを享受できるのか?をよく検討する必要があります。
掛金継続に対する不安
個人型確定拠出年金(iDeCo)の最大拠出限度額は、加入者資格によって異なります。例えば、専業主婦・主夫の場合は第3号被保険者に該当し、最大拠出額は月2万3,000円です。
月2万3,000円なんて資金繰りが厳しいわっ。という場合でもご安心。あくまで「限度額」のため、拠出限度額の範囲内であれば、月々5,000円から、1,000円単位で拠出できます。年に1回拠出額を変更することもできるので、家計の状況に変化があった場合でも見直し可能な点はありがたいですね。
今月はちょっとピンチ…という場合。掛金の引落口座に残高がなければその月は拠出されません。翌月に2回分が引き落とされることもありません。
ただ、拠出を完全に止めるためには、加入者資格を喪失する手続きをとったうえで「運用指図者」(すでに積み立てられている資金の運用だけ行う)になる必要があります。
また、企業型の確定拠出年金の場合は、掛金は事業主が出してくれましたが、個人型では自分自身で掛金を拠出しなければいけません。専業主婦・主夫の場合、たとえ相方が高所得者だったとしても、配偶者が代わりに資金を出すことはできません。
月々最低5,000円を今後継続的に拠出できるのか?が大きなポイントになります。
60歳まで資金が固定化されることへの不安
確定拠出年金は、老後の資産形成の一助となるべくさまざまな税制優遇措置があるわけで、原則60歳になるまでは資金の引き出しが認められていません。
掛金拠出を止めたい場合でも解約はできず、前述のとおり「運用指図者」となり運用を継続することが求められます。
【注】脱退要件を満たせば脱退して、一時金を受け取ることができます。
さて、自分の立場に置き換えて考えてみると。
子どももまだ小さい。将来的に教育資金として使いたいタイミングがくるかもしれない。
住まいがボロボロになってきた。いますぐにでもリフォームしたい。
退職後は継続的な収入の確保も難しそうだ。そうなると、手元資金にある程度の流動性(いつでも自由に使える状態)を持たせておく必要があると踏んだわけです。
所得控除メリットがない
個人型確定拠出年金(iDeCo)の最大のメリットといってもいいでしょう。税制優遇措置です。どんな優遇措置があるかは「たあんと」さんの記事がわかりやすく解説されています。
◆たあんとさんのサイト「iDeCo(イデコ)とは?メリット・デメリットは?やさしく解説します」◆
税制優遇を受けられるのは、あくまで税金を納めている方。確定拠出年金への掛金は、「小規模企業共済等掛金控除」として控除されるため、いくら配偶者に所得があっても、配偶者が代わりに掛金を拠出できないのと同様に、控除は本人の所得からしかできないのです。
つまり、所得が少なく、税金も払っていない状況だと、掛金拠出期間中の所得控除メリットはないんですね。
掛金が少額だと手数料比率が高くなる
最低月5,000円から始められる確定拠出年金ですが、税制優遇のメリットにばかり気をとられて、手数料については全く見てなかった!とならないようにしたいものです。
税制優遇はとてもオイシイ(烏龍茶的にはあんまり、ちょんもり、しょんぼり、ですけど)個人型確定拠出年金(iDeCo)ですが、毎月の手数料負担が意外にあるんですよね。
ちょっと詳しく見ていきます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)にかかる手数料
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、銀行や証券会社などで申込可能ですが、その先には国民年金基金連合会というラスボスがいます。
この他にも、確定拠出年金を運営するためにあれやこれやのお仕事をしてくれる機関が存在しています。ラスボスから委託された方々です。
お仕事をしてくれるからには、無償というわけにはいきません。「受益者負担の原則」。これ、仕事をしている時には当然感じることなのですが、いざ支払う側になると、途端に「手数料が高い!」ってなるのはなんなんでしょうね。
個人型確定拠出年金(iDeCo)にかかる手数料
- 事務取扱手数料(国民年金基金連合会):
拠出1回につき103円 - 事務委託先手数料(だいたい信託銀行):
月額64円が多い - 運営管理手数料(申込銀行・証券会社等):
金融機関により異なる
- 上記3つをまとめて「口座管理手数料」と言ったりします。
最も安い場合で167円、高い場合で617円。その差月額450円! - 手数料のなかには、資金を拠出せずに運用のみを行う「運用指図者」の場合はかからない、あるいは減額される項目があります。
- 口座管理手数料が安いネット証券では、だいたい運営管理手数料0円とすることで安さを実現しています。
投資信託商品にかかる費用
さらに、拠出したお金を「投資信託」で運用する場合には、次の費用がかかります。
- 販売手数料:購入時。
iDeCoではかからないケースが多い - 信託報酬:運用中。
日々資産残高から差し引かれる - 信託財産留保額:売却時。
一部の商品のみかかる
- 上記3つをまとめて「投資信託手数料」と言ったりします。
これらの手数料は、拠出金にプラスで発生するわけではなく、掛金や資産から控除されます。ですから、毎月5,000円を拠出している場合でも、実際に運用にまわるお金は控除後になるので、5,000円よりも少ないということです。
そして、拠出額が少額だと、手数料の占める割合が高くなってしまい、投資効率が悪くなってしまうのです。
移換手続きをしなかったらどうなるのか。意外にマズイ…。
烏龍茶の場合、脱退を目論んでいたが失敗に終わった。どこかしらに移換しなければならない。しかも期限がある。
いよいよ追い込まれてきた感があるけれど、じゃあ、期限を超過してしまった場合、私のお金はどこにいっちゃうの?
まさか、グッバイ・マイ・マネー
まずは、移換手続きのスケジュールを確認してみます。
移換手続きのスケジュール
- 移換期限:
転職・退職等が発生した翌日の6ヵ月後の月末 - 移換に要する期間:
1~2か月程度(2~3か月としているところも)
これを考えると、退職後3か月以内にはどの金融機関で申し込むのかを決めて、実際に資料を取り寄せるなど動き始めた方が良さそう。
ちなみに、移換される際には、一旦保有している資産を市場で売却して、新たに申し込んだ金融機関で取り扱っている商品を買うことになります。もちろん売却日はこちらで指定できません(と、担当者の方に聞いたのですが、おそらくどこの金融機関でも同様の対応だと思います)。
つまり、この移換期間内にマーケットが大荒れだと資産は目減りすることもあるわけですよね。悲しいなぁ。
ま、価格が下がっているうちに新たに買い付けも行うわけですから(タイミングや選択商品次第で必ずしもそうではないけど)プラマイゼロだぜ、くらいの明るい気持ちをキープするように努めたいですね。
移換期限超過後は「自動移換」
さて、頑張ってみたものの移換期限までに手続きが間に合わなかった、となると、これまで積み立てた資産は、自動的に国民年金基金連合会に移換されてしまいます。
なお、自動移換されてしまった後でも、「やっぱりiDeCo始めたい!」という場合は、自動移換後でも、どこかしらの金融機関で個人型確定拠出年金(iDeCo)を始めることができます。
なーんだ、ラスボスに資金が移るというだけじゃん、と軽く考えない方がいいです。そこには確かなデメリットが存在するのです。
自動移換のデメリット
- 自動移換されると資金の運用はストップする
→運用機会の逸失 - 所定の管理手数料は負担しなければならない
→儲ける可能性を捨てながらも、損だけは発生 - 自動移換期間は通算加入者等期間に参入されない
→ただでさえ原則60歳以降でないともらえないのに、さらに遅れる可能性がある - 自動移換時に、結構な手数料を持っていかれる
この自動移換にかかる手数料を詳しく見ておきましょう。もはや、間に合いそうもない私は心臓がドキドキしちゃいます。
自動移換時にかかる手数料
- 自動移換時:手数料 4,269円
- 資産凍結中:管理手数料月額51円(4か月目から発生)
- 再移換時※:手数料1,080円
- iDeCo加入時:手数料2,777円
※自動移換後に、企業型確定拠出年金または個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する場合
恐らく、私の場合は、移換期限を最大2か月くらい超過してまうわ、と踏むとですね、期限前にiDeCoに移換すればiDeCo加入手数料2,777円のみで済むところ、余計に4,269円+1,080円=合計5,349円のお支払!チャリーン!!
本当にしたかったことは「つみたてNISA」
そんなこんなで、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入がマストだと気づくまでは、これまで積み立てた資産はちょっとずつ「つみたてNISA」に回そうと考えていました。
私の置かれている現状に適しているのは、「iDeCoよりのつみたてNISAだ」と判断した理由は次のとおりです。
- 老後資金として固定化されない。
- 毎月の積立金額は少額からでOK。
見直しも臨機応変に可能。 - コストは投資信託手数料だけ。
しかもつみたてNISAは手数料が安く設定されているものが多い。 - 税制優遇は運用益が非課税なだけで満足。
しかも、つみたてNISAの非課税期間は最長20年。
烏龍茶はその時60歳オーバー。
iDeCoの運用期間とあんま変わらない?
そんな感じです。
どの制度が自分に合っているのか、リサーチは大切ですね♪
意図しない結論になりそうな今回のドタバタですが、近い将来もしかしたらバリバリの会社員に復帰する可能性もなくはないので、「iDeCo」という老後に備える仕組みをあらかじめ用意しておくのも一つの安心ですね。
そんなわけで、ようやくiDeCoの書類請求をしたところ。ブログ更新する前に手続き進めろよって話ですね…。
以上、退職後の確定拠出年金移換手続きをうっかり忘れてて、慌ててiDeCoに加入しようとしているあわてんぼう主婦の戯言でした。
皆さん、どうか同じ道を歩まれることのないよう…。