退職後の健康診断どうする?会社員時代とどこが違うか調べた話。

こんにちわ烏龍茶です。

ちゃんと健康診断受けていますか。いつまでも若く健康に保ちたい己の体そのためにも定期的な健診は不可欠なわけですが、これまで会社におんぶに抱っこだった健康診断。退職後はそうもいきません。

会社退職後の健康診断はどうやったら受けられるのでしょうか。調べた結果をまとめてみたので「同じ状況なんです!!」という方のご参考になれば幸いです。

 

会社員時代の健康診断

会社員時代は、加入している健康保険組合から健康診断のお知らせがきます。健診実施機関一覧のなかから希望する受診機関に自分で予約を入れて受診する、というのが一般的な流れでしょうか。うっかり年度末までに受診しないと会社に怒られる、みたいな。

それもそのはず、従業員に定期健康診断を受けさせるのは労働安全衛生法に定められた会社の義務。そして、従業員側にも受診することが義務づけらています。

万が一、受診し忘れた場合、法律上の罰則はないようですが、職務上の命令として受診を命じられたにもかかわらず従わない場合には、懲戒事由に該当するとの見解が示されているようです(最高裁判例より)。

 

健康診断を受けると、その結果は会社にも通知がいくようです。なんとなく、会社に知られるのヤダなぁ…なんて感じる方もいるかもしれないですね。健康情報はセンシティブ情報ですから厳重に管理されているはずなので、そこは会社を信頼するしかないですね。

健康診断の結果次第では、健康状態に配慮して仕事内容や配置が変わったりと、従業員を守ってくれる方向に進む可能性もあるので、自分の健康のためにも必ず受けるようにしたいですね。

 

退職後の健康診断

会社を退職する際は、原則、これまで加入していた健康保険組合から脱退することになります。健康保険被保険者証健康保険証)も、退職日の翌日から使用できなくなります。お医者さんに行くと、そんな文言の入った案内ポスターが受付に貼ってあったりしますよね。これまでは他人事のように眺めていたポスターも、今や自分の立場…と、しみじみ。

 

再就職した場合は、これまでと同様に、新しい会社の健康保険組合から健康診断受診の案内がきて対応することになりますが、再就職しない場合はどうなるのでしょうか。退職後の医療保険は、次の3パターンになります。

  1. 任意継続
  2. 配偶者の扶養
  3. 国民健康保険

任意継続の場合は、これまで加入していた健康保険、配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の加入している医療保険、国民健康保険の場合は市町村または国民健康保険組合のいずれからか健康診断のお知らせが来る流れになります。

詳しく見ていきましょう。

 

退職後に就職しない場合

まずは、退職後にすぐに再就職をしない場合を考えてみます。

働かざる者、食うべからず。諸事情により就労・就職が難しい場合もありますが、よっぽどの不労所得がある富裕層でない限り、一般的に生活を維持していくためには稼がなくてはならない…。世の常ですね。

ただ、退職時に次の就職先が決まっている人ばかりではなく、失業手当を受けながら、今後のライフプランをじっくり考える人も多いのではないでしょうか。

 

ちなみに、退職は、次の就職先が決まってからにするべき」ということがセオリーのように言われていますよね。

会社員時代には、辞めていく後輩を幾度となく送り出しましたが、ほとんどの人が再就職先を決めていたし、「売り手市場」と言われる時期ということもあってか、だいたい「おぉ~こりゃステップアップだ」と拍手を送りたくなるパターンが多かったです。

そして、思ったのです。あの働きぶりのなか、いつ就職活動してたんだ。働きながらの就活って精神的にも肉体的にもハードなはず。だって、辞めたいくらい今の仕事がキツイってことでしょ(キャリアアップ思考の場合もあるけれども)?

みんな、どうやってるんだろ。私にはとても無理、と感じていました。きっと優秀なセカンドキャリアの相談先を利用していたのかもしれません。

 

任意継続被保険者制度の利用(2年)

会社員は、健康保険と厚生年金にセットで加入します。つまり、退職時には、原則として健康保険と厚生年金から脱退することになります。

基本的には、「退職=脱退」の図式ですね。

 

ちなみに健康保険には、保険者の違いによって次の2種類があります。

  1. 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)…主に中小企業対象
  2. 組合管掌健康保険組合(組合健保)…大企業のイメージ

 

さまざまな恩恵を受けられる会社員時代の社会保険。出来たらそのまま健康保険に入っておきたいなぁと思うこともあるわけです。

そのような場合、健康保険については「任意継続被保険者制度」があります。申請により退職後2年間は被保険者資格を継続することができます。

ただし、任意継続被保険者になるためには、一定の要件があります。

任意継続被保険者の要件

  1. 被保険者期間が、資格喪失の前日まで継続して2ヶ月以上あること
  2. 資格喪失日から20日以内に申請すること

 

申請は、退職後20日以内に行う必要があります。期限までに申請しない場合や、期日までに加入月分の保険料納付ができない場合は、加入することが一切できなくなります。このため、退職前に健康保険を継続するのかどうかについてよく考えておく必要があります。

 

なお、任意継続後の保険料は全額自己負担(40歳以上65歳未満の場合は介護保険料を含む)となります。
【注】会社員時代は事業主と被保険者で折半(協会けんぽの場合。組合健保の場合は、負担割合が独自に設定されていることがあります)

「全額自己負担」と聞くと、ちょっと二の足を踏む…。けれども、任意継続には扶養の仕組みがあるので、退職時点で自分が世帯主で、扶養家族がいるという場合には任意継続する方がメリットが大きいとも言えます。1人分の保険料で、家族全員分の保険料が賄えるわけですからね。

 

新しい健康保険証の発行

任意継続被保険者となった場合でも、これまでの健康保険証は使えなくなり、新しい保険証が発行されるので注意してくださいね。

また、任意継続被保険者の場合は、「傷病手当金」(病気やケガで働けずに給料が支給されない場合に支給されるもの)と「出産手当金」(出産のために会社を休んで給料が支給されない場合に支給されるもの)は支給されません。このため、出産を機に退職を検討する場合には、これらも考慮してタイミングを考える必要がありそうです。

 

この新しい保険証は、以前の職場における健康保険の被保険者資格喪失届が年金事務所に送付され、手続きが完了した後に発行されます。このため、退職後すぐに医療機関を受診したいけど、手元に健康保険証がない場合はどうすればよいのでしょうか。この場合は、一旦全額自己負担で受診することになります。

任意継続被保険者資格取得は、退職日の翌日になりますので、健康保険証がなくても健康保険給付の対象になります。手元に新しい健康保険証が届いたら、療養費支給の申請を出せばOKですよ。

 

ちなみに、厚生年金も、「退職=脱退」の図式があるわけですが、健康保険と同様にそのまま継続する道があります。気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。(執筆中)。

 

配偶者の扶養

退職後すぐに再就職しないものの、既婚者の場合は、相手方の扶養に一旦は入るという選択もあります。被扶養者となるには、一定の要件があります。

健康保険の被扶養者になるための要件

要件は被保険者との関係によって異なります。

1.生計維持関係にあること

その人の年収が130万円未満(60歳以上および障害者の場合は180万円)、被保険者の収入の2分の1未満であることが基準になります。

2.同一世帯であること

配偶者は生計維持関係があればOK。被保険者との関係によっては同一世帯であることまで求められ、例えば子どもの配偶者(お嫁さん)も扶養に入れたいよ、という場合は同居している必要があります。

 

配偶者の被扶養者になった場合は、配偶者が加入している医療保険(国保組合(国民健康保険組合)、健保組合(健康保険組合)、協会けんぽ、共済組合等)が健康診査を実施することになります。配偶者の勤務先から案内があるのが基本ですが、加入時期によっては勤務先を通して連絡が来ず、自身で問い合わせる必要があります。(←烏龍茶、いまココ)

 

国民健康保険

任意継続もしない、扶養にも入らない。となると、国民健康保険に加入することになります。国民健康保険は、自営業者や自由業者、定年退職をした人、健康保険に加入できない人を対象にしています。

国民健康保険に加入するには、以前の会社から脱退連絡票または健康保険資格喪失証明書をもらって、市町村役場の国民年金保険担当課に退職後14日以内に届け出る必要があります。

 

ちなみに国民健康保険にも、保険者の違いによって次の2種類があります。

  1. 市町村(特別区含む)
  2. 国民健康保険組合

国民健康保険の保険料は原則として世帯主が納付します。「国民健康保険税」として徴収される場合がほとんどで、このように税金とするか保険料とするかは各市町村の任意になっています。保険料は全国一律でなく、組合ごと、また市町村ごとに異なります。

一般的に、国民健康保険には扶養の仕組みや保険料の最高限度額がないので、支払う保険料が他のパターンに比べて高くなることがあります。自分が世帯主で扶養家族がいる場合には、任意継続を考える余地がありそうですね。

浜松市では、任意継続保険と国民健康保険の保険料を比較したいときに保険料を試算してくれるサービスがあるようです。任意継続保険の保険料は、以前の会社から案内があると思うので、比較したい場合は早めに行動をした方が良さそうですね。

◆浜松市国民健康保険/保険料の仮計算(試算)の詳しい手続きはこちら

 

健康診断の種類

医療保険では、年度に1回、健診費用の一部を補助してくれます(年度の間に複数回受診する場合、2回目以降は全額自己負担)。

烏龍茶は、扶養家族の立場なので「協会けんぽ」の特定健診と、個人で国保に加入していたと仮定して「浜松市国民健康保険」(以下、浜松国保)の特定健診について調べてみました。

協会けんぽの健康診断

◆被保険者本人
生活習慣病予防検診 35歳から74歳まで
◆扶養家族(←烏龍茶、いまココ)
特定健診 40歳から74歳まで

浜松国保の健康診断

◆被保険者本人
特定健診 40歳から74歳まで

健診項目は、「基本的な項目」と「詳細な健診の項目」に分かれていて、詳細な健診の項目については、医師が必要と判断する場合のみ受診することになっています。

協会けんぽの特定健診と、浜松国保の特定健診の項目を比べると、次の医師判断による3項目が、必須となっているか・いないかの違いがありました(浜松国保では必須)。

  • 心電図
  • 貧血検査
  • 腎機能検査(クレアチニン)

【注】眼底検査は、協会けんぽ特定健診、浜松国保特定健診ともに医師判断により受診

なお、がん検診等については、健康増進法に基づき市町村が実施することになっているため、特定健診の項目にはありません。

協会けんぽでは、特定健診の基本的な項目のみ受診した場合の補助最高金額は6,650円、浜松国保の場合は1,500円(40歳から69歳まで、40歳・50歳達令時は無料、70歳以上は500円)でした。

協会けんぽは、自分で保険料を払わない(扶養だから)分、自己負担額も高くなっていると言えそうですね。

 

協会けんぽ健康診断の流れ

特定健診を受診するためには、「特定健康診査受診券(セット券)」が必要となり ます。受診券(セット券)は年度はじめに協会けんぽから被保険者の自宅等に、個別に送付されます。

あとは、自分自身で健診機関に予約を入れて受診する流れになります。

烏龍茶の場合、受診券が届かない…。配偶者の職場にも届いていない…。ということで、受診券を手に入れるところからスタートです。

 


いかがでしたか。

なかなか煩雑な社会の仕組み。ついていくの精いっぱいですが、ご参考になれば幸いです。